7時半、広い宴会場を仕切った一角で朝食。昨夜同様、私たち一組だけである。
8時15分、レンタカーに乗り込み、小雨にけむる飯坂温泉を後に一路米沢方面へ。県境(だと思いますが)の長いトンネルを抜けると青空が広がっている。米沢を通り過ぎ、上山市の山あいにある<狸森(ムシ゛ナモリ)珈琲店>をめざす。
開店前なのに突然押しかけた私たちだったが、店長のロミさんご夫妻から大歓迎を受ける。中川ワニさんの唯一のお弟子さんに当たるロミさんとは、彼が弟子時代にワニさんと金沢出張の際あうん堂の屋根裏部屋に泊まっていたこともあって、それ以来の長いお付き合いである。珈琲を淹れていただいている間奥様と近況を歓談。旅先で知人と会うのはサイコーです。今度会えるのはいつになりますかね? とご夫妻に別れを告げ、置賜郡川西町にある<遅筆堂文庫>に向かう。
二度目の来館となる<遅筆堂文庫>は井上ひさしさんの蔵書20万冊が生前に寄贈されており、図書館の一角に遠慮気味に設置されているところも井上さんらしくて良い。好きな言葉が印刷されているPCなど記念グッズを買い求め、新潟県の新津市へと車を走らせる。
山を越え、海が見える坂町から高速で一気に新津市内に入り、新津駅前の商店街にある新刊書店<栄進堂>に到着。突然の訪問で、二代目店長であるMさんと奥様がビックリ顔で迎えてくださる。20年あまり郊外の大型ショッピングセンターで大型の書店を営んでいたMさん、この春先代が構えていたこの場所に戻って地域に愛される本屋さんとして再スタートしたのである。まだまだ出来上がりは半分にもなりません、と本に対する情熱が半端でないMさんと語っていると、あうん堂も負けてはいられないという気持ちになってきた。
新潟駅南口でレンタカーを乗り捨て、表口まで “桃”2箱でムチャクチャ思いバッグを持って移動し、17時30分発の金沢行き高速バスがやってくるのを待つ。金沢まで所要時間は4時間半、途中休憩の米山SAでは夕焼けに染まった佐渡島が美しい。
時間通りに金沢駅東口に到着、タクシーで帰宅。母が亡くなって20日あまり、もう呼び出しの電話を気にかけることのない夏休み唯一の泊まり旅が終わる。 |